くらし情報『穏やかな恋と冷静な恋。川上弘美を読みくらべ【女の本棚】』

2016年4月29日 17:45

穏やかな恋と冷静な恋。川上弘美を読みくらべ【女の本棚】

「センセイの鞄」「二十二個の星」47〜48ページより引用

とてもゆっくりとそれでもなんとか前に進んでいる想いがあります。この小説の全体を通して、恋のプロローグといえます。つまり、いちばん楽しくてどきどきが続いている時間です。
ときどき、主人公があまりにもぼうっとしているので、そこは好きなんでしょう! と叫びたくなってしまう場面もあります。

センセイはいつの間にか石野先生と並んで、楽しそうに酒を飲んでいる。商店街の鶏肉屋で買ってきたタレの焼きとりの串を、手に持っている。いつもならばセンセイは頑固に塩の焼きとりしか食べないくせに、こういうところでは融通のきく質なのだな、と責めるような心もちになりながら、わたしは隅のほうで一人酒をすすっていた。

「センセイの鞄」「花見その1」126ページより引用

そんなところも含めて、穏やかな恋を楽しんで読み進めます。

冷静に恋する「ニシノユキヒコの恋と冒険」

ニシノユキヒコという男性は一人なのだけれど、いろんな女性の視点で描かれるとたくさんのニシノユキヒコがいるのかしらと思えます。ニシノさん、西野君、ユキヒコ、幸彦、と呼ばれているのです。
この連作短編集は、ニシノユキヒコ以外の視点で描かれたニシノユキヒコ集です。

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