くらし情報『『かぞくのくに』井浦新の静寂なる熱 「人間そのものへの興味が尽きない」』

2012年8月2日 18:22

『かぞくのくに』井浦新の静寂なる熱 「人間そのものへの興味が尽きない」

井浦さんは意外性を感じながら脚本を読み進めたという。
「最初に監督自身と(北朝鮮に渡った)お兄さんの体験を基にしたお話と聞いていたのですが、正直、もっと政治に寄った物語なのかなと思っていましたが、読んでみたら、そうした政治的な部分は、見事に“背景”としてキッチリ収まっていて、ある家族の苦悩や在り方がしっかりと描かれていた。とは言ってもこの家族の姿を通じて、様々な問題がものすごい力を持ってあふれ出てくるのを感じました。やはり実話だからこその力を感じたし、そこに自分が参加したいという気持ちが湧いてきました」。

25年ぶりに生まれ育った日本の地を踏み、家族や友人、かつての恋人と再会を果たすソンホ。井浦さんは淡々と静かな佇まいで彼を演じるが、その静けさが彼の存在感を際立たせ、声なき彼の心の叫びを見る者の胸に響かせる。
「まさにその点は最も意識してやった部分です。物語自体に力があるからこそ、大げさに何かを表現するような演技は絶対にしないと決めていました。
悲しい出来事を悲しく表現するのではなく、見る人に答えを提示するのでもなく、もっと生々しく感じてもらえるような芝居がしたかったんです」。安藤サクラとしか築き得なかった兄妹の関係

特に感じてほしいのはソンホと家族との心の距離。

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