くらし情報『「プロジェクトX」? 日本版『ダークナイト』? 初心者も楽しめる『シン・ゴジラ』』

2016年7月26日 18:00

「プロジェクトX」? 日本版『ダークナイト』? 初心者も楽しめる『シン・ゴジラ』

そして、主人公の内閣官房副長官の矢口蘭堂(長谷川博己)をはじめ、この事態に対処する登場人物たちの設定も、内閣から自衛隊、消防に至るまで全て現実のシステムや法律、社会制度に則したもの。もしも…もしも、本当に超巨大不明生物が現れたら、政府は、自治体は、自衛隊はどのような法律に則し、どのような命令系統で動き、どう対処するのか? 映画では、延々と続く閣議や仰々しく長ったらしい名前の非生産的な会議の模様が描かれます。話し合いは遅々として進まず、各省庁がそれぞれに責任をなすりつけ合うさまや、安全性ではなく経済を優先する思考、消去法による事なかれ主義、責任者がなかなか決断できない現実など、日本社会のお役所体質の弊害がこれでもかと繰り広げられます。

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一方で、主人公の矢口をはじめ、国民の命を第一に考え、この国の未来を真剣に案じる者たちの姿も描かれます。不眠不休で身を粉にして事態に立ち向かう政治家や官僚、研究者ら対策チームの面々、そして彼らが立案した作戦に文字通り命がけで従事する自衛隊や消防関係者などの姿は、絶望的な事態の中のひと筋の“光”であり、庵野監督が本来あるべき為政者の姿として物語の中に込めた希望、祈りと言えるでしょう。

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