2017年8月26日 14:00
【シネマ羅針盤】『ワンダーウーマン』成功の意義 これはゴールではなく“はじまり”
という真に力強いメッセージを突きつけたからだ。
もちろん、『トゥームレイダー』『バイオハザード』『ハンガー・ゲーム』といった00年代以降の“アクションヒロイン映画”のムーブメント、さらに女性が主役を務める『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の大ヒットという重要な下地があったことも見逃せない。
それだけにメガホンをとったパティ・ジェンキンスに対し、「女性監督だから、女性が共感できる作品になった」と評価する姿勢は、いかにも“男目線”で違和感を覚える(実際には、本作におけるジェンキンス監督はただただ、優れた仕事をしている)。
例えば、男性の監督に向かって「やっぱり男性だから、男性の気持ちがしっかり描けていますね」なんて言わないし、そもそも女性監督という言葉が存在する時点で、まだまだ『ワンダーウーマン』が目指す理想の世界には程遠い。ハリウッドにおける女性と男性のギャラ格差など、現実的な問題も山積するだけに、本作が成し遂げた偉業はゴールではなく“はじまり”に過ぎないのだ。
(text:Ryo Uchida)
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ワンダーウーマン 2017年8月25日より全国にて公開
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