2018年5月27日 08:30
【シネマVOYAGE】海から現れたミステリアスな男を受容する不思議な街…『海を駆ける』
、親戚のサチコ(阿部純子)、タカシの同級生のクリスと彼の幼なじみイルマ。彼らの周りで不可思議な現象が起こります。
考えさせてくれる映画だというのは、ラウが一体何者なのかがはっきりと描かれていないので、どう捉えるか、どう解釈するかによって、いろいろな見方ができる。いろいろな見方の先にある自分なりの答えを見つけたくなるわけです。
ラウは不思議な力を持っていて、神様のようにも見える、自然の一部のようにも見える、つかみどころのないキャラクターですが、もしかするとそういうことが起こりえるのかもしれない…と、妙に受け入れてしまう力がある。
それはラウ役のディーン・フジオカの演技力、彼のミステリアスさを受け止める周りのキャラクーを演じる俳優たちの演技力、そこにリアリティがあるというのはもちろんですが、物語の舞台であるバンダ・アチェという街の力も大きい。
ラストシーンはとても美しくファンタジックな海が映し出されますが、考えれば考えるほど、その美しさの向こう側に何があるのか、ラウは何者だったのか、人が自然のなかで生きるとは……次から次へと思考が広がっていく。だからなおのこと行ってみたいと思うわけです。