2019年2月18日 17:00
【イマ旬!ハリレポ】現地目線!第91回アカデミー賞を大予想~主演女優賞は誰の手に?
映画は女王アンを巡る2人の女侍従が女王の寵愛を得るための醜い女の争いをシビアかつ滑稽に描いたもので、ともするとオリヴィアのアン女王の役は助演扱いになっても良さそうな位置にある。しかしオリヴィアの演技を見れば彼女は主演女優の枠でなくてはならない理由が分かる。
さて、『ROMA/ローマ』が公開されるまでは無名だったヤリツァ・アパリシオはダークホースである。本作の監督アルフォンソ・キュアロンの自叙伝的な内容と言われている本作は現代では大胆な手法と言われる白黒で撮影され、メキシコ・シティの裕福な家庭で家政婦として働く女性クレオ(ヤリツァ・アパリシオ)を中心にメキシコ社会における女性の立場に静かに焦点を当てた叙情的な人間ドラマだ。
社会・人種多様性が特に叫ばれている現在において『ROMA/ローマ』は非常にタイムリーな存在となっており、ヤリツァもアカデミー史上初めて主演女優賞にノミネートされた純粋先住民の女優ということで話題になっている。ただ、姉の代わりに受けたオーディションでたまたま受かってしまったと言うヤリツァは、演技派というよりは自然と穏やかな演技で好演しているという印象で、人種のバックグラウンドやシンデレラ的なウラ話などで話題性としては高いが、彼女の演技だけにスポットライトを当てると果たしてオスカーの域に達しているかという疑問が浮上してくる。