2019年9月2日 12:00
60年代アメリカとタランティーノがかけた魔法…『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を読み解く
タランティーノがかけた最大の魔法は、これまで共演することが一切なかったハリウッドが誇る二大スターの姿をスクリーンに同時に映し出したことだろう。
レオナルド・ディカプリオ:俳優リック・ダルトン
ピークを過ぎたテレビ俳優リックは、映画スターへの転身を試みるもうまくいかず、精神的に不安定になっていた。いよいよ追い込まれたリックは、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することになるが…。
外ではスターとして格好良くきめていても、家では必至にセリフを覚え、撮影でやらかした失敗に激しく自分を責めるリック。
夢を見続けたいと願う落ち目の俳優が、自分の現在の価値を思い知らされ悔し涙を流す~そんな悲しくも滑稽な姿を、ディカプリオは切なさとともに魅力的に演じている。
悪役として参加した西部劇でみせた彼の渾身の演技は必見! 目頭が熱くなること請け合いだ。
ブラッド・ピット:スタントマンのクリフ・ブース
またリックのスタントマンを務めるクリフは、雇われのお世話係でもあり、車の運転やテレビアンテナの修理など細々とした用事も全て行っている。リックと同じくジリ貧ながらも、マイペースにリックを支える日々だ。