2019年9月13日 17:00
【ネタバレあり】『アス』を徹底解説!ジョーダン・ピールの世界を読み解く5つのキーワード
80年代ホラークラシックへのオマージュが全編に散りばめられている『アス』。
ポスターのビジュアルなどで象徴的に用いられているのは、レッドが武器として手にしている真鍮のハサミだ。ハサミが凶器としてフィーチャーされた作品としてホラー映画ファンが最初に思い浮かべるのは、トニー・メイラム監督の『バーニング』(1981年)だろう。同作には登場キャラクターが文字通り火だるま(=バーニング)になるショッキングなシーンもあって、そこも『アス』との共通点。
キーワード5:エレミヤ書11章11節
劇中、何度か重要なシーンに現れるホームレスのような謎の男と、その男が掲げた段ボールやその額に刻まれていた言葉。あるいは、家の中のデジタル時計に表示されている「11:11」の数字。それらが意味するのは、旧約聖書の三大預言書の一つ、エレミヤ書の11章11節のことだ。
「見よ。
私は彼らに災いを下す。彼らはその災いから逃れることはできない。彼らは私に向かって叫ぶだろうが、私は彼らに耳を貸さない」。
『アス』が描いているのは、いつか必ずやってくる、我々が逃れることのできない「災い」ということになる。
(text:宇野維正)