くらし情報『『ジョーカー』はスーパーヒーロー映画とハリウッドをハックした』

2019年10月11日 12:15

『ジョーカー』はスーパーヒーロー映画とハリウッドをハックした

『ジョーカー』がこの時代に生み出された意味

『ジョーカー』について語る際にふまえるべきなのは、本作がそのようにかつて「映画」と呼ばれていたアートフォームの足場そのものが大きく揺らいでいる2019年という時代に生み出された作品であるということだ。今年、映画興行のあらゆる記録を塗り替えることとなった『アベンジャーズ:エンドゲーム』の公開時には、それぞれのスーパーヒーローの出演時間を集計した表がソーシャルメディアで拡散されたが、ほぼすべてのシーンにジョーカー(=アーサー・フレック)が顔を出す『ジョーカー』ではストップウォッチを握る必要はない。ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスが本作で披露しているのは、典型的なメソッドアクト(役者がキャラクターになりきる演技法)で、キャラクター造形が役者の資質に寄りそっている近年のスーパーヒーロー映画とは真逆のやり方だ。トイレが近い人は、「旧来の映画」のように作品が約2時間で終わることに歓喜するだろう。

『ジョーカー』には、過去の映画からの「オマージュ」と呼ぶのも憚られるような直接的な引用や影響が全編に放り込まれている。なかでも(他でもない)スコセッシの『タクシー・ドライバー』(1976年)

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