2019年10月14日 16:00
『パラサイト』『ジョーカー』『万引き家族』…格差社会への痛烈批判が共通テーマに
ポン・ジュノ監督はカンヌの受賞式で、「世界の人たちにどこまで伝わるかがわからなかった。だが家族の問題というのは、どこの国でも共通なのだと思った」と語った。次に挙げる作品群もまた、いま世界が注目する監督がそれぞれ全く異なったアプローチで描く、貧富の両極化の中でもがく“どこにでもいる普通の人々”の姿。
決して他人事ではない普遍性のあるテーマだからこそ、個性豊かな作品を貫く共通テーマに注目してみてほしい。
●カンヌ、昨年のパルムドール『万引き家族』是枝裕和監督(’18)
様々な“家族のかたち”を描き、今年はカトリーヌ・ドヌーヴやジュリエット・ビノシュらを迎えた『真実』が公開される是枝監督が、実際の事件に着想を得て“犯罪でしか繋がれなかった家族の絆”を描いた。昨年、カンヌ国際映画祭の審査委員長を務めた女優ケイト・ブランシェットから「見えない人々(Invisible People)に声を与えた」と評された本作を、是枝監督は「社会的、政治的問題を喚起する目的で映画を作ったわけではない」としながらも、「通常の枠を超えて多くの人のところに届いている」と実感を込めて語っていた。
●ヴェネチアで最高賞『ジョーカー』トッド・フィリップス監督(公開中)