2020年1月14日 11:30
【インタビュー】今泉力哉監督 “生っぽい”感覚を追求「ドラマにならないようなことが、ドラマにできる」
――ひとりのキャラクターに担わせないこと、登場人物の散りばめ方のバランスは、意識されているところでしたか?
今泉監督:まさに。群像劇をたくさんやっている理由のひとつが、主人公が真ん中にいて、周りの人が主人公のために存在するのではなく、その人、その人の人生をなるべくちゃんと描きたいから、というのもあるんです。「主人公のために人を置かない」ことは意識していて。僕、エキストラとかが苦手で。いっぱい居てもらったほうが画になることもあるけど、「その人の人生もあるのにな…」って思っちゃうから。
――田中さんが夏目を演じることで、より魅力を増したようなところはありましたか?
今泉監督:はい。オリジナルで書いたのもあって、田中さんが広げてくれたところがありました。具体のシーンで言うと、麻里子(ともさかさん)とかと揉めた後に、車で夏目が姪の前でタバコを吸うシーンがありますよね。
たぶん、俺が芝居の温度をコントロールしたら、もうちょっと子どもに罪悪感を持って、「かっこ悪いところ見せてごめんね」と優しくしたと思うんです。けど、田中さんは意外とイライラしている感じでやっていたし、タバコを吸っても簡単に落ち着かず、まだイライラしている感じを出していた。