くらし情報『ヘレン・ミレン、好意の裏で“罠を張り巡らせる”悪女の表情…『グッドライアー』』

2020年1月29日 16:00

ヘレン・ミレン、好意の裏で“罠を張り巡らせる”悪女の表情…『グッドライアー』

そこでベティは「私は自分で決める。あなたの許可は不要。尊重する気がないなら当分会わないわ」と毅然と言い放つ。

スティーブンが自分は邪魔者かと投げやりになって出ていくと、困惑し意気消沈しているロイに、ベティは「自分が分かる?私に孤独を感じさせないこの世で唯一の人よ」とやさしく語りかけるのだった。ロイをかばい、思いを打ち明けたベティにロイは少しホッとした表情を見せたが…。

普段は穏やかなベティが強い口調で孫をたしなめながらもロイには自分の気持ちを告白する一方、いつも冷静なロイが弱さを見せる、それまでとは違う一面を見せる2人がより魅力的に見える本シーン。

だが、ビル・コンドン監督は「悪い人間ほど魅力と理知にあふれているもの。ついつい観客は彼らを応援したくなってしまうだろう。
僕の興味は、観客を偽りのゲームの渦中に引き込み、登場人物を使って気を散らせながら、その下にあるものは見せないようにすることに向いていたよ」と、その裏側にある何かを隠し、観客を騙すための演出にこだわったことを明かしている。
そんな誰もが感情的になった局面でも嘘をつき通し、好意を打ち明けて罠を仕掛けるベティ。ロイの嘘が暴かれるのをなぜ止めたのか?ロイへの思い、スティーブンの存在が複雑に絡み合い、コンドン監督の思惑と合わせ、より一層、その秘密と嘘の仕掛けを推測したくなる場面でもある。

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