2021年9月1日 07:45
【インタビュー】高畑充希 大きな“破壊”の後に気づいたこと…失う前に気づくことの大切さ
というのは、私は親の職業を継いだわけではなかったので…。本来は私が継ぐべきだったのかもしれないけど、家を飛び出して芸能の世界に入ってしまったので、ある意味で自分は(自分で道を切り拓いていく)初代というか、“受け継ぐ”という立場ではないので。ただ最近、特にミュージカルで、クラシックな作品を後世に伝えていくためにやるということがあって、そのためのひとつのピースになるというチャンスをいただくことが多くて、そこに意義を感じている自分がいるんですね。これまで、何かを“生み出す”ことの美学を感じていたけれど、“継いでいく”という美学もあるんだなと感じています」
「傷は消えることはない」その上で大切なこと
受け継ぎ、伝えていくという意味で、この作品で重要なテーマのひとつとして描かれているのが今年で発生から10年を迎えた東日本大震災である。撮影は被災地であり、原発事故の爪痕がいまなお深く残る南相馬市で行われた。この作品への参加を通じて、高畑さんは何を感じたのか?
「あの震災が起きたとき、私は地元の大阪にいたんです。健康診断のために母と病院にいて、TVで津波の映像を見たんですけど、TV画面を通じて見ていると、どうしても“TVの中の出来事”になってしまっていて。