2021年10月14日 17:00
現状が重なるリアルさ…世界的人気作品となった「イカゲーム」に迫る
「このまま、この残酷な番組を見続けますか?」それと同時に、これから悲惨な目に遭うだろう参加者たちが無実の被害者ではなく、自らの選択でこの恐ろしいゲームに参加したということを再認識させている。この契約書シーンは、アップル製品などについてくる何ページもの契約書をよく読みもせず、盲目に「同意」ボタンを押している我々がダブって見え、背筋が寒くなった。
現状が重なるリアルさ
この筆者が長年住んでいるアメリカも、ここ数年特に貧富の差が肌で感じられるほどになってきている。豊かに見えるのは上層部1%の富裕層だけ、中層階級は生活費の高騰に追いついていない給料で、とてつもない額に跳ね上がった賃貸のアパートに住み、40代になっても払いきれない高額の学費ローンに喘ぎ、クレジットカードの借金に追われる生活。まさにサバイバルである。
一生楽をしていけるような大金が手に入ったらどんなにいいか、と思っている人たちはたくさんいるはずだ。本作はそんな視聴者に自問自答させる。「自分の命が危なくなったら、他人を殺してサバイブするか?」去年からのコロナ禍で精神的・金銭的に八方塞がりな気分に追い込まれた人たちはきっと少なくないはずだ。