2022年1月21日 17:45
ウェス・アンダーソンの世界を作る立役者の1人『フレンチ・ディスパッチ』美術監督に聞く 「狙ったのはバランス感」
と、確かに楽しそうにふり返る。
「脚本を読んでいてめまいが…」膨大なセットの数
とはいえ、本作に関しては「脚本を読んでいてめまいがしました!」とストックハウゼンは打ち明ける。「サゼラック(演:オーウェン・ウィルソン)の話で、この街をどう捉えるかが最初の難関でした。調査から取り掛かり、美術の取り組み方を下書きしてゆくことで、他の話も進展しだしました」。
複数の短編からなり、複数のセットを要する本作。その数は約130にも及んだという。「この映画の美術の罠はおびただしい数の、細心の注意を要する、幅広いことがらがあったことです。それを切り抜けることができたのは、信じられないほど優秀なチームがあったからです」と話し、「エリカ・ドーンは次々と雪崩のように押し寄せる画像の要求にこたえました。ステファヌ・クレッサン(美術監修)とイラストレーターとアートディレクターから成る先鋭チームは監督の要望を1つずつかなえました。リナ・ディアンジェロ(装飾)は懸命に各セットを彩りました」とスタッフ陣をねぎらった。
「すすけた感じがあってこそ美しい」
古いフランスの街並
舞台となる架空の街“アンニュイ=シュール=プラゼ”は、全てフランス西部のアングレームで行われた。