2010年4月15日 21:39
【どちらを観る?】クラシックが聴きたい 『のだめカンタービレ』&『オーケストラ!』
千秋との関係がぎくしゃくする中、シュトレーゼマンのプラハ公演で堂々と演奏するのだめの姿にジーンとさせられる。
一方、『オーケストラ!』は元天才指揮者でありながらも、いまはロシア・ボリジョイ交響楽団の劇場清掃員として働く中年男アンドレイの再起を描いた人間ドラマ。
もう一度舞台に立ちたいと願うアンドレイは、ある日とんでもない行動に出る。支配人部屋の清掃中に見つけた1枚のファックス──パリのシャトレ劇場からの出演依頼の用紙を勝手に持ち出し、クビになったかつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成。本物と偽ってパリへ乗り込むという突飛なアイディアを思いついてしまうのだ。けれど、寄せ集めオケの団員たちは時間は守らない、浴びるほど酒は飲む、練習はしない…と、散々な珍道中に。そんな彼らがある瞬間に本物の演奏家の顔に変わる、ユーモラスからシリアスへの切り替わりが感動的だ。また、本作はプレジネフ政権下にボリジョイ交響楽団からユダヤ人音楽家と彼らを擁護するロシア人音楽家が排斥された現実を取り入れている。
アンドレイたちが過去のトラウマを克服しようとする姿を描くことは、ある意味、経済不況の只中にいる現代の我々へのエールとも捉えられるのだ。