くらし情報『女の節目~人生の選択 (6) vol.6「初めての、犯罪」【11歳】』

2014年11月21日 12:55

女の節目~人生の選択 (6) vol.6「初めての、犯罪」【11歳】

でも、実際の私は不器用で浅はかで小心者で、大胆不敵な怪盗や義賊、あるいは魔術師とは、まったく違う人間だと思い知った。オモチャを隠し持ったまま、堂々と顔を上げることすらできない。怖かった。友達にバレることや、警察に捕まることより、「自分の手に負えないことをしでかしてしまった」のが怖かった。

もっとうんと幼い頃から、遅刻の言い訳をでっちあげたり、仮病を使ったりすることはあった。周囲の大人が取り合わずに聞き流した小さな嘘については、罪の意識などまったく持っていない。一方で妙に馬鹿正直なところがあり、知ったかぶりや見て見ぬフリができずに「そんなことしちゃいけないんだよー」と他者を咎めては、級友に煙たがられていた。

水色のオモチャの窃盗は、私が生まれて初めて「罪」だと自覚して、それでもした、イケナイコトだ。
実際の成功失敗に関わらず、友達の家からは価値ある品物が損なわれ、私の心からも何か大事なものが奪われて、たとえ品物を戻したところで「二度と取り返しがつかない」のがわかった。誰も傷つけない仮病や遅刻の言い訳とは違う。「罪」の味は自分の舌にこそ苦かった。

○テレクラモグラネグラ

小学校高学年になると、新たな犯罪に手を染めるようになった。

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