2015年2月4日 09:00
多様性に問いかける - サイボウズが挑んだ「答えを決めない」プロモーション
そのテーマにワーキングマザーを挙げたのは、社長の意見によるものだ。
「私たち自身が働き方の改革にずっとチャレンジしてきたので、自信をもって伝えられるテーマであり、社会的にも関心度の高い話題。その点から、みなさんに問題提起のできる情報発信が可能なのではないかと考えました」(大槻氏)
だが、大槻氏はその問題提起を自社のプロダクトに直接結び付けることはしなかった。
「解決方法は家庭の数だけあります。決まった答えを提示すると、ひとごとと思われてしまうかもしれない。子供がいない人にも、同僚や部下などいろいろなシチュエーションに応じて考えてほしい。だからあえて答えを入れず、現状をリアルに描くことで、ディスカッションのきっかけになればいいと思いました」(大槻氏)
グループウェアの導入で安易に解決できる問題ではないことを、長年ワーキングマザーの働き方に取り組んできた同社は理解している。共感を呼ぶシチュエーションは同じでも、解決や改善は一人ひとりの多様性に対応するものでなくてはならない。
大事なのは『自分事』化してもらうこと。それを伝えるものにしたかったと大槻氏は言う。
○共感というコミュニケーションから
こうした訴求の手法に、制作チームからも当初は戸惑いの声があったという。