2015年2月18日 10:46
イラン、3年ぶりの人工衛星打ち上げ成功 - 謎多き宇宙開発と、その将来 (1) 国産衛星ファジルと、スカッド・ミサイルから生まれたサフィール・ロケット
また「コールド・ガス・スラスター」を持ち、軌道を変えることができるともいわれる。コールド・ガス・スラスターとは、窒素ガスなどをあらかじめ掛けておいた圧力だけで噴射するエンジンで、その仕組み上、推力は弱いが、構造が簡単という利点がある。打ち上げから1週間が経った2月9日現在、軌道を変えた形跡は見られないが、今後の動きに注目される。
ファジルはおそらく、カメラやスラスターなどの技術試験と、少しばかりの偵察を目的としていると思われる。現在の軌道では、地球上のある点を一定の周期で観測することはできないため、本格的な偵察衛星として使うことは難しいが、まったく役に立たないというわけでもない。
○サフィール・ロケット
「サフィール(Safir)」は2段式の液体燃料ロケットで、全長22m、直径1.25mの、比較的小型の機体だ。打ち上げ能力も、地球低軌道に50kgほどと小さい。サフィールとはペルシア語で「使者」という意味を持つ。
ロケットの第1段には準中距離弾道ミサイル(MRBM)のシャハーブ3を改造したものを使用しているとされる。どの程度の改造が施されているか詳細は不明だが、少なくとも外見からは機体の全長が伸びており、推進剤の搭載量が増えていることがわかる。