蒼井優、映画デビュー20年目の現在地「人生は楽しいほうが絶対いい」
あの街並みや家の中に立たれた感覚は?
ふわっふわしてました。なんだか実感がないというか。
――これまでにも戦争ものには出られていますが、それらはもっとはっきりと戦時下を意識させるものでした。
そうですね。モンペを履いてたり。聡子はとても恵まれた生活をしていました。国際情勢も知っているような知らないようなくらいの知識で生きてきて、傍には尊敬できて信頼している旦那さんがいる。後半、聡子が「やっと今生きてる感じがする」と言いますが、特に前半は浮遊しているような感覚で生きていたのだと思います。
ふわふわと。
――甥っ子の文雄(坂東龍汰)も、優作(高橋一生)が作り上げた「恵まれた環境にいることを叔母さんは知らない」といったことを口にしていました。聡子は後半になって初めて地に足がついた?
はい。やっと地に足をつけて物事を考えざるをえなくなった。そして着けたと思ったらそこは沼で、ずぶずぶと落ちていくような、潜っていくような場所だった。撮影中は、街並みも、何かまともに見られませんでした。すごく俯瞰から見ているような感覚と、潜ってみているような感覚とで。
――聡子への確証がなかったと最初にお話されましたが、聡子とリンクしてたんですね。