次のグラフは、同時期のドル円相場(TTS)の推移です。アベノミクス開始とともに、長く続いた円高から急激に円安へと向かっているのが、見て取れます。2015年6月19日現在で、1ドル123円台と円安傾向は続いています。日本の金価格の上昇要因には、ひとつには、この円安が関わっているのです。
(※グラフは、田中貴金属工業の月次平均データより作成)
○金の実力以上に、為替の影響が大きい
金取引は、「有事の金」と言われるように、世界的な政治不安や金融危機が起こると、金取引が活発になり、価格は上昇します。また各中央銀行が金の保有量を増やすため、価格は上昇します。逆に、株式市場が活発になると資金は株式へと流れ、また中央銀行が金を放出するなど、大きな動きがあれば、金価格は下落するのです。もっとも金の需要が高い中国の動きによっても金価格は変動します。
日本の取引も基本的には世界市場の動きと連動するのですが、日本の場合は、そこに為替が関係してきます。世界市場はドル建ての取引ですが、日本での売買ではドルを円に換えて取引されるからです。そのため、現在のような円安傾向が続くと、世界の金価格の実体とは別に、ドル円相場によって日本の金価格が変動するというわけです。