2015年10月1日 12:54
世界に追いつけるか 「高度化」H-IIAロケット、ここに誕生す (2) 大荷物を部屋の中まで運び入れてくれるようなロケットに
2015年11月24日に打ち上げが予定されているH-IIAロケット29号機には、「高度化」と呼ばれる改良が初めて施されている。この高度化により、これまでH-IIAが抱えていた問題のひとつが解決され、世界の他のロケットと、ほぼ同じ地位に立つことができるようになった。
連載の第1回では、従来のH-IIAが抱えていた問題について紹介した。
第2回となる今回は、その問題を解決する代表的な3つの方法と、その中から高度化で採用された方法が選ばれた理由について紹介したい。
○格差を埋める3つのやりかた
前回触れたように、H-IIAは静止衛星を打ち上げる際、世界の他のロケットと比べると条件の悪い静止トランスファー軌道にしか投入できないという問題を抱えている。そのため、静止軌道へ乗り移るのに必要な衛星側の負担がより大きくなってしまっており、H-IIAが商業打ち上げ市場で苦戦している理由のひとつとなっていた。
H-IIAが世界水準のロケットになるためには、どうにかしてこの世界との格差を埋めなくてはならない。
そのためには大きく3つの方法がある。
そもそも赤道直下から打ち上げる
1つ目は「ロケット発射場を赤道近くに造る」