2016年3月14日 13:13
航空機の技術とメカニズムの裏側 (9) 飛行機の操縦(2)動翼にまつわるあれこれ
ただし、左右とも同じように動作するので、機首を振る動きにはならない。
○エルロン・リバーサル
本連載の第1回で、主翼が弾性を備えた構造になっているという話を書いた。実はこれが、補助翼の効きに影響する。なぜか。
弾性を備えた主翼は、上下方向に動くだけでなく、ねじれた動きもする。そういう主翼の後縁に補助翼を取り付けて動作させるとどうなるか。
例えば補助翼を下げた場合、本来なら、それによって上方向の力が生じるはずである。ところが、補助翼は主翼の後縁に付いているから、その上方向の力は主翼の後ろ寄りにかかる。
すると、主翼を持ち上げるだけでなく、前縁が下がる方向にねじる力も発生してしまう。
その結果として主翼が捻れて前縁が下がると、主翼の上面に気流が当たって、主翼を押し下げる動きが発生する。それが補助翼による上げ方向の動きより強いと、(主翼を上げるつもりで)補助翼を下げたのに主翼が下がってしまうという、意図したのとは逆の動きをする。
補助翼は左右で逆方向の動きをするものだから、反対方向では逆の動きが生じる。結果として、例えば左にロールを打つ(機体を左に傾ける)つもりで行った操作により、機体が右に傾いてしまう。