2016年4月1日 12:32
金星探査機「あかつき」の試験観測は順調、フルサクセスへの期待が高まる
ミッション達成度を示すサクセスクライテリアにおいて、すでにミニマムサクセスを達成。フルサクセスには2年間の観測が必要なため、しばらく時間がかかるものの、試験観測を始める前に比べると、達成できる可能性は「高まったと思う」と中村プロマネ。エクストラサクセスについても、「いけるんじゃないか」との見通しを示した。
現在の燃料の残量は3kg(最大7kgの可能性も)。今後、軌道制御に1kg、姿勢制御に1kg使い、残りの1kgは予備としておき、5年間観測できる可能性があるという。前回の失敗で、一時は金星観測の実現すら危ぶまれていた。もちろんまだ楽観はできないものの、ここまで状況を持ち直したことには驚くほかない。
あかつき搭載の観測機器の状況については、それぞれ担当者から説明があった。
「1μmカメラ(IR1)」については、東京大学の岩上直幹教授が説明した。IR1は、すでに金星の昼側と夜側の撮影に成功。昼側の観測では、金星最大の謎であるスーパーローテーションを観測するが、撮影データを画像処理すると凹凸が良く見えており、問題なく下層大気の雲の追跡ができそうだという。一方、夜側の観測では、地上付近の水蒸気を観測することが主目的であったが、実際に観測されたデータを調べてみると、主に地形が見えていることが分かった。