2016年7月14日 08:00
母親が、子供を預けてコンサートに行ける社会に - 演出家・平田オリザに現代エンタメのあり方を聞く
生活保護受給対象者が昼間に映画にいって後ろ指を指されることと、お母さんが子供を預けてコンサートに行って非難されることはつながっているし、もっといえばヘイトスピーチ問題にもつながっているんですね。「誰かがズルをしているんじゃないか」と疑心暗鬼になっている社会から、もっと寛容な社会にならないと日本はもたないのでは、と考えたんです。
――確かに、楽しむことに罪悪感を持ってしまうということはあると思います。
教育の講演会に呼ばれると、参加者に「子供にどんな教育をしたらいいですか?」と質問されることも多くあります。そういうときに必ず答えるのが、「まず、お父さんお母さんが人生を楽しんでください」ということです。親がコンサートやミュージカルにいって楽しむ習慣をつけないと、子供も楽しむことはありませんから。
○下りる時にこそユーモアを
――平田さんは、社会が成長できないと"寂しさ"が到来すると言われていますが、そういうとき、何をしていけばいいと思われますか?
おおらかさを持つことじゃないでしょうか。下り坂だからダメってことではない、下りるときにはユーモアが大切ですね。
でも、それは難しいことで、成長社会は努力したら報われる真面目な社会だったんです。