2017年6月1日 10:30
映画『無限の住人』8人の証言者たち - 「皆さまのもの」になるまで (14) 木村拓哉の逆算力、三池組モニターチェックの聖域 (6人目:撮影 北信康氏)
「演じた後に答えを見る」
――これまでカメラを通してたくさんの役者さんをご覧になってきて、木村さんは役者としてどのような魅力がありますか。
やっぱり先ほどの通り、自己演出がすばらしい。それはスターとよばれる人が持って生まれた、意識を全くしないところから出てくるもの。本人は何も意識していないはずです。佇まいもいいですよね。
――ということは、モニターチェックも入念なんですか?
三池組は全くしません。監督が「OK」を出したものですから。昔の映画はモニターも何もなかった。
ラッシュ(完成前の試写)で確認し、基本的に役者さんには見せなかったんですよね。役者さんは完成したもので初めて観る。ある時から現場でモニターが使われるようになって。それが、良いのか悪いのか分かりませんけど、テレビやコマーシャルでは役者さんが現場で確認するのが当たり前になりました。
便利なこともあるんだろうけど、イマジネーションが無くなってしまうというか。「答えを見て演じる」のと、「演じた後に答えを見る」のとは大きな違いがあるので、個人的には見ない方がいいと思います。僕は古いタイプの人間なので(笑)。
――三池組では監督に委ねるわけですね。