2017年6月9日 21:00
『3月のライオン』『時かけ』脚本、映画監督で「大失敗したい」本当の狙い - "売れる方程式"への挑戦と野心
華々しい経歴とも取れるが、同氏は今回の受賞作で"2つの壁"をぶち抜こうとしている。「売れる方程式」の破壊とは。そして、「大失敗したい」と口にする意味とは。
○「また面白いものを作りたい」
――あらためてグランプリ受賞、おめでとうございます。
ありがとうございます。映画会社の方をはじめ、周囲の反響が届いています。「脚本を取り寄せて読んだよ」とか、いろいろな方から言われて。たぶん、ネットに上がった記事を読んだりして、知ってくださったんでしょうね。
僕はほとんど動いてないのに、そんなに周りの方々が気にしてくださるなんて(笑)。『溺れるナイフ』(16年)を撮った山戸結希(監督)も、「どこに行ってもみんな渡部くんのこと話してるよ」と。そんなに!? 鈴木京香さんの隣で写真に写ってたねって(笑)。
――そういう声はプレッシャー? それとも創作意欲につながるのでしょうか?
プレッシャーは全くないです。たぶん、感じるのは2作目からじゃないですかね。一応、自主映画は撮っていますが、語り継がれるような傑作も作っていないので(笑)。また面白いものを作りたい、というのが素直な気持ちです。今回が商業デビュー作となりますが、自主映画としては『かしこい狗は、吠えずに笑う』(12年)