2018年4月18日 11:00
稲垣・草彅・香取が歩き出す、『クソ野郎と美しき世界』の高い完成度
しかも、失くしたものについて、語ることもない。ないないづくしである。
それもまた、彼らほどではないにしても、観客である私たちにも、きっとなんらかの思い当たる体験があるはず。大切なものを失くした記憶、言いたいことを言えない記憶が。そんなときの想いを、新しい地図の3人に見てしまう、託してしまう。
スクリーンのなかの彼らは、何かを失いながらも、立ちあがって、歩き出す。
『クソ野郎と美しき世界』は新しい旅立ちをする者たちへの応援歌だ。
私たちは映画のなかの彼らを応援し、そんな私たちは映画のなかの彼らから希望をもらった。
■著者プロフィール
木俣冬
文筆業。『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)が発売中。ドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書『挑戦者たちトップアクターズ・ルポルタージュ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』、構成した書籍に『庵野秀明のフタリシバイ』『堤っ』『蜷川幸雄の稽古場から』などがある。最近のテーマは朝ドラと京都のエンタメ。
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