2018年6月21日 11:00
矛盾の俳優・山田孝之、『50回目のファーストキス』で見せた成熟
『コンフィデンスマンJP』では後半数分に出るだけではあるが、その回のオチを担うような重要な役だった。ざっと説明すると、嘘の手術を行うために雇ったハリウッドの腕利き特殊造型作家の役。山田は、いかにも技術屋という感じのぶっきらぼうな素振りでその役を演じていて、観察力と再現力の確かさをわずか数分で示してみせた。
でもやっぱりこれ誰? とはおそらくほぼ誰も思わず、おお、さすが山田孝之! と誰もが嘆息してしまうのである。
台本に書かれたことを丁寧に読み解き、自分の体に染み込ませ、脚本家や監督のイメージに確実に沿うことのできる優秀な俳優だから、その能力を思う存分駆使できる大作に、それも主役クラスで出るだけで十分ではないかと思うが、まさに仕事を選ばないかのように『コンフィデンスマンJP』のようにちょっとだけ出る仕事も楽しそうにやっているように見える。いやむしろ、そういうほうが楽しそうな気がしないでもない。
『コンフィデンスマンJP』も本人の希望らしく、映画『50回目のファーストキス』で共演した長澤まさみが主演している縁で、“「どこかでちょっと出たい」ということになったらしく”と古沢は自身のウェブコラムで書いている。