2018年6月23日 09:00
ヒット中『空飛ぶタイヤ』は、「自分語りを極力排した」 脚本家の意図
でも沢田は単なる一社員で、しかも会社の中でこの事故に関して一番動いてくれているのが彼なんです。それを知らない赤松は、沢田に怒りをぶつける。その2人の関係が僕には、すごく面白かった。だから2人を軸に物語を考えていきました。
最初は沢田は電話にもでない。沢田は実在してるのかとさえ赤松は思う。ロビーですれ違う。電話で初めて話す。
そして直接会う。1億円の補償金を境に2人の人生は別方向に歩みだす。子供の文集を切っ掛けに再び邂逅する。そんな2人のある種のバディものととらえて、彼らがときには争い、最後は一瞬心を通い合わせて別れていく姿を縦軸に描いていきました。
別軸の井崎には「人、1人が死んだんですよ。どうしてそんな会社を助けなくちゃいけないんですか」という直接的な台詞を一言だけ言わせていますが、つまりはそういう話なのではないかと思ったのです。すべてが解決しても命は戻ってこない。人、1人が死んでいる。
そのことを痛感している2人がいる。だからあのラストシーンが必要だと考えました。原作の精神と同じだと思います。
――完成した作品をご覧になった感想や、長瀬さん、ディーンさん、高橋さんたちの演技はいかがだったでしょうか?
素晴らしかったです。