2019年1月31日 11:30
北村匠海、常に「いま、ここ」を表す先の見えない演技で大物の予感
とりわけ、ある人物のその笑顔に対するリアクションに注目。現場で堤監督がこのリアクションを足していた。
なにもかもうまくできそうに見えるのに、この人はなぜ死にたいのだろうかと気になる。丸メガネに、麻のジャケット、身につけているものはいまふうのもので、おしゃれに気を使っている設定のノブオを、北村匠海はじつにさらりとやっているように見える。私は映画のオフィシャルライターで現場に入って、コメントももらったのだが、質問に対する回答がすらすらとよどみない。パンフレットでは、堤監督と誕生日が同じで共感するところがある(大意)と言っていた。
ものの見方のことを言っていたようだが、インタビューで、どんな質問にも間を空けず、すらすらと答える反応の良さが、堤監督に少し似ている気がした。
○ネタバレのない演技
北村匠海は主に、青春ものの映画やドラマで活躍している。
ブレイクのきっかけは、初主演作『君の膵臓をたべたい』(17)。病気の少女を想う少年の揺れる心を描く作品をみごとに演じることは、若手演技派の登竜門となる。さらにこの映画には、大きなドンデン返しがあるので、そのときの演技もすごく大事。そのへんもうまいこと演じていたと思う。