2019年9月5日 11:00
草なぎ剛「特別な作品に」酷暑の現場で語った『台風家族』への手応え
――市井監督からは現場でどんな指示、要求がありました?
監督から「芝居で小鉄に寄せるのではなく、草なぎくんの小鉄を見たい」って言われたんです。それは僕だけではなく、小鉄の奥さんを演じた(尾野)真千子ちゃんや三男の千尋を演じた(中村)倫也くんに対しても同じで。それこそ、普通の芝居はここは少し怒った感じで言おう、ここは悲しい感じを出してみようって考えながら作っていくものかもしれないけれど、市井監督はそれを嫌う人で。こう言おうと思って言ったりすると、それを見逃さないんです。でも、芝居をしないで自然にそこにいることは、自分の演技の次の段階のテーマが含まれていると思っていた節もあって。なので、いいタイミングで市井監督と出会えたと思っているし、今回の現場では極力考えずに怒ったり、笑ったりするようにしているんです。でも、そうすると自分でしかなくて。逆に回り回って僕自身でいいんだなと思うことができたので、けっこう自分が出ていると思いますね。
――小鉄に素の草なぎさんが滲み出てくるわけですね。
監督が言っていたことなんですけど、お客さんの目も肥えてきているし、2時間弱の映画を形式ばった芝居で作ってもつまらないものにしかならない。