2019年10月12日 17:00
是枝監督、日仏の壁を越え「ほぼ思い通り」の海外初演出! J・ビノシュと秘話語る
きっと是枝監督のなかに“おばちゃん”がいるんです。
是枝監督:そうです。僕の中に、大事に育てているおばちゃんがいます(笑)。でも、おじさんもいますよ。
――そう聞いてすごく納得してしまいそうですが、本当のところ、どういうテクニックを使われたのでしょうか?
是枝監督:たとえば僕が弁護士の話を書く際には、弁護士事務所に通って取材をしますが、今回もそのプロセスで言うと、女優の話なので、ドヌーヴさんやビノシュさんのご自宅におじゃまして、長い時間をかけて話を聞かせてもらいました。ドキュメンタリーじゃないから、そのままを引用したわけじゃないけど、彼女たちから、自分の母親や娘さんとの関係などをいろいろ聞いて、それを脚本に取り入れました。
――是枝監督の作品は、ナチュラルな口語体の台詞が印象的ですが、今回はフランス語の脚本に仕上げるために“翻訳”というフィルターをかける必要があったかと。やってみていかがでしたか?
是枝監督:実は日本語ってすごくいい加減な言語で、主語がなかったり、時制がぐちゃぐちゃだったりしますが、映画だとむしろそのほうがリアルな台詞になります。
でも、フランス語に訳す時、全部をきちんとした時制に戻さないといけなくて。