例えば、生産量が前年比で多少減少しても、生産品の価格が上昇し、利益が増加していれば、大した問題ではありません。
つまり、数量が伸びなくとも、利益率が上昇すれば、得られる富が大きくなることもあるのです。
このため、国と国の経済成長率を比較する際など、我々はしばしば米ドル建ての名目GDPに注目します。
各国通貨建ての実質GDPと違い、米ドル建ての名目GDPは、価格および為替の変動も反映した指標です。
例えば、A国、B国とも、自国通貨建ての名目GDPの成長率は2%、対米ドルでの為替変動は、A国については横ばい、B国については+10%だとすると、米ドル建て名目GDP成長率はB国の方が高くなります。
2011年のブラジルの場合、名目GDP成長率は、レアル建てで約+12%ですが、年平均の為替レートが対米ドルでおよそ5%上昇したことから、米ドル建てでは約17%となります。このように、世界的に見れば、ブラジル経済の真の姿は依然として良好ながら、いくつか問題もあります。
例えば、同国が現在、生産を急拡大させている原油は別としても、資源の中には価格が下落しているものがあり、ブラジル経済にとってのプラス効果が低下していると考えられます。