実現すべき自己なんて無い!? 私たちにとっての“働く意味”とは
実際に世間のイメージもそうらしいけれど、実は「やきものと作家性が結びついたのはごく最近のことなんですよ」、と彼は言う。では、もともとは何だったのかというと、「産業」なのだという。
長年、その地域で一番、生産量の多い窯。その器の裏にはいわゆる「銘」が刻まれていない。見せてくれた過去の器の展示には、私の実家にあるものもいくつかあった。そうか、あの器はここでつくったものだったんだ!
「やきものは、使うための器なんです。作品ではない。だから、我が家では代々、銘を刻まないことにしています。
飾っておくのではなく、日常的に使ってほしいものですから」
「作品ではない」という彼の言葉からも、やはり「自己実現」とは遠い意識を感じた。
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