■ペット防災「準備しておきたいもの」

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では具体的に、どういうものを準備しておかなければいけないのか、
備えるための考え方を教えていただきました。
「この時点では一体何が必要なのか、その
タイミングを踏まえて準備しましょう。重たいリュックの中に缶詰や水、カンパンを入れておいても、よくよく考えてみれば家の中にさえ入れれば、いろいろな食べものってありますよね。持ち出し品の内容を一生懸命考えるよりは、自宅に
どれだけ備蓄してあるか、それが災害時にもちゃんと
取り出せるようになっているかが大事。重たいリュックではなく、まずは身を守ってすぐに避難できる準備をすること、その方が現実的ですよね」
災害時に持ち出し率が最も高いのは、
現金を含む貴重品と、
携帯電話なのだそう。
「よほど大きな災害でない限り、避難所には充電設備ができます。携帯電話には
薬の情報や
家族の写真など、必要な情報を入れておきましょう。ただ、連絡手段として使うのは落ち着いてからでないと難しいので、モジュラージャックを差し込むだけで使え、電源が要らない
固定電話を自宅に用意しておくと、より安心です。

誰にとっても役に立つ、非常用グッズリスト。 『猫と一緒に生き残る 防災BOOK』(日東書院)より
療法食や
薬など、これがないと直ちにペットの
健康状態や命に関わるものは、必ず用意しておくこと。薬は獣医さんに相談して処方いただき、常にストックを確保しておくようにします。療法食は、現在食べているものが手に入らない可能性があるので、ほかのメーカーのもので食べれるものを把握しておくことも大切です。
飼っている動物種によって、用意しておく優先度は違ってきますね。動物は環境が変わっただけでも食べなかったりするので、日頃から好きなフードも入れておくのを忘れずに。

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猫の場合は、
ケージは持っておいた方がいいですね。在宅避難できるなら、飼育用品をローリングストックしておけばいいと思いますが、避難所に行くのであればケージがないと。トイレや水を入れられないキャリーバッグで、とりあえずの1、2日を避難所で過ごすのはとても大変です。
その後の預け先を心積もりしておくことは、犬でも猫でも必要です」

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「そして意外になくて困るのは、
犬のうんち袋。ビニール袋をストックしていない人が多く、避難所ではなかなか手に入らないんです。
フードの臭いも苦情になることがあるので配慮が必要です。それは
赤ちゃんのおむつについても同じなのですが、ゴミを人通りのないところに片付けたり、消臭スプレーを使ったり、コロコロを使って体についた動物の毛を取ったり。それを見ただけで、飼っていない人も『ああ気をつかっているんだな』とわかることが大事だと思います。
家族が亡くなったり、財産を失ったりと、みんながピリピリしている環境では、ちょっとしたことが火種となりすぐにトラブルになってしまう。いつも以上に
周りへの配慮が必要となります」

ペットカメラや自動給餌器などもうまく利用して。
「
何が優先なのかを考えると、必要なものも見えてくるし、その中で
どういう行動をとるべきかをお母さんなりに考える。例えば東日本大震災のときには、
赤ちゃんの液体ミルクは日本では使えなかったのですが、今は使えるようになっています。そういう情報には日頃から興味を持って、常に調べておくことも大切ですね」
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