連載記事:子どもが変わる、夫婦も変わる会話術
褒め言葉、けんか、仲直り…子どもはすべて「夫婦の会話」から学ぶ【子どもが変わる、夫婦も変わる会話術 第1回】
■夫婦けんかは見せてもいい? 仲直りで「議論」を学ぶ
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――自分のことについて話している夫婦の会話を、子どもが聞いていたのですね。
天野さん:直接言われるよりも、誰かが自分に関することを話している言葉のほうが、ずっと心に残りますよね。子どもだって同じなのです。
まして、いちばん大切なパパとママが自分のいいところを話し合ってくれていたら…。それは子どもにとって、大きな励みに、支えになるのです。
このご家庭には、さらなるうれしい変化があったといいます。子どものことはもちろん、日常のささいなことでも、夫婦の会話がグンと増え盛り上がるようになったと…。
――たしかに、夫婦の会話が弾んでいると、そばで聞いている子どもも安心するのでしょうね。
天野さん:子どもが出合う最初の“社会”が家庭です。夫婦の会話を育み、大切にすることで、子どもはもちろん、家庭そのものも成長するんですね。こんなふうに夫婦のやりとりを聞いて、子どもは自己肯定感を育むことができるんです。
――では、子どもの前で夫婦げんかなんて、もってのほかですね。
天野さん:いえいえ、子どもの前での夫婦の口論もときにはあっていいと思います。ただしきちんと「仲直り」するところまで見せてあげましょう。
子どもは、そこから「議論」を学ぶことができるからです。勃発した口論に「どう決着をつけるか」を見せることで、「ああ、こんなふうに仲直りすればいいのか」と、子どもは解決の方法を知るのです。
でも、子どもが寝たあとに夫婦だけで仲直りをして、翌朝はケロッとしていると、子どもは「あんなに言い争っていたのに、いつ、どうやって仲直りしたんだろう?」とモヤモヤしてしまいますね。すると、自分にはわからない世界に対して不信感を抱いてしまいます。
ですから、夫婦げんかをしたら、ちゃんと話し合って解決に導き、仲直りをする決着まで見せてあげましょう。「言葉のやりとり」を聞かせることも大切なのです。子どもは、「聞いて」学びます。夫婦のような対等な立場同士の議論を見て、結論を出す過程を聞かせてあげましょう。
こうすることで、いつか子どもが議論をしなくてはいけない場面がきたときに、暴力ではなく、言葉できちんと解決する術やコミュニケーションの術を学ぶことができるでしょう。
――毎日、なにげなく交わしている夫婦の会話ですが、実はそれが子どもに与える影響がどんなに大きいかを実感するお話ですね。
天野さん:今は、共働きの家庭も増えて、パパもママも日々をこなすだけでいっぱいいっぱい、というケースも多いでしょう。自分のこと、子どものことだけで精いっぱいで、夫婦はお互いへの不満も募りがちです。
でも、それぞれによくお話を聞くと、夫婦として「なんとかしたい」「助け合いたい」という思いは皆さんもっているんですよね。この思いをもっと出すことができれば、夫婦のコミュニケーションももっとラクになり、子どもを伸ばすことにもつながるのです。
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もっと、夫婦の会話を増やして充実させたい。そう思っているパパやママは多いはず。まして、子どもの成長につながるのならなおのことです。
第2回では、夫婦の会話が変わる、3つの心得をうかがいます!
参考図書:
『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)
天野ひかり 著/汐見稔幸 監修
夫婦の会話は、子どもの成長に大きく影響を受けている! 「夫婦の会話」で磨かれる子どもの「5つの力」と「夫婦の会話」の心得とコツについて、わかりやすく解説した一冊。
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