くらし情報『ずっとやめたいって思ってた。吉沢亮が続けた先に見つけたもの #Lifeview』

ずっとやめたいって思ってた。吉沢亮が続けた先に見つけたもの #Lifeview

2018年4月26日 23:00
 

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ずっとやめたいって思ってた。吉沢亮が続けた先に見つけたもの #Lifeview

吉沢亮は、とことん完璧だ。その端整なルックスは、まるで少女慢画からでてきたヒーローのよう。小さいころ私が大好きだった、あの『ママレード・ボーイ』の遊を演じると知って、「それなら彼しかいない」と妙に納得した。

これだけ完璧なら、きっと歩んできた人生もパーフェクトなんだろう。目をそらしたくなるほど眉目秀麗なその人を前に緊張しながら、ふとそんなことを思っていた。だけど、紡がれる話はまったくちがう。そのギャップにいつしか私の緊張は吹き飛んで、次から次へと質問を投げかけていた。この人の話、もっと聞きたいと。

きっかけは、100万円の賞金。

「『ママレード・ボーイ』で演じた遊との共通点は、人との接し方が苦手なこと。遊って表面上はいい奴っぽいんだけど、内面をさらけ出すのが下手で、人との関わり方が不器用。それはもう人見知りで、自分の悩みをまったく相談しないタイプの俺とすごく似ているんです」

眩しいくらいの金髪が、ここまで似合う人なんてほかにいないと思う。傍から見たらすべてを手にしていそうな彼が話すギャップに、なんだか拍子抜けした。だけど、なかなか目を合わせてはくれない控えめな姿を見て、なんとなくその話は本当なんだろうと感じる。

「仕事をはじめたころは役者をやりたいって気持ちも、芸能界へのあこがれも特になかったんです。事務所のオーディションを受けたのは、賞金が100万円だったから。とか言いつつ、ほかにやりたいことも別になかったんですけど」

金メッキが剥がれ落ちていくような気だるい呟き。もしも私が“吉沢亮”だったら、やりたいことなんてこれでもかというほど見つかりそうなのに。でも、ラフな空気感を纏う彼が教えてくれたのは、なんとなくな感情と流れ。

「『この先どうしよう』って悩んでいた学生時代に、母親からオーディションの話を聞いて受けることにしました。でも、結局もらえたのは賞金が出ない賞。その流れのまま、芸能界に入ったのが仕事をはじめたきっかけなんです」

ずっとやめたいって思ってた。

日曜日のAM8:00。私がはじめて彼の存在を知ったのは、とある朝のことだった。幼いころ兄に影響され、いつのまにか大人になってからも見ることが日課になっていた『仮面ライダー』。そこに登場する、メテオという最高にクールなライダーに夢中になった。オーディションから約2年、誰もが羨む仮面ライダーの大役。多くの人が望む場所に立っていたはずなのに、過去を振り返った彼が吐き出したのはちぐはぐな本音だった。

「仮面ライダーの話をもらったときは素直にうれしかったですよ。小さいころからずっとあこがれていたことだったから。でも、本音を言えば18歳くらいのころはずっと仕事をやめたいと思ってた。というのも、デビューしたてのころは『レッスンばかりやらされてた』という感覚が強かったんですよね。まわりの友だちは春休みで遊びに行っているのに、自分は行けない。しかも、レッスンでは演出家さんに怒られる毎日」

流れでいきついた芸能界の生活は、理不尽に思えることばかり。またひとつ、彼の見た目とは不釣合いな言葉が並べられる。

「この仕事が自分に向いているとは思えなかったんです。お芝居するのは好きだけど、まわりから派手に見られるようなことは好きじゃない。そういうのを含めて、なんとなく嫌だった」

隣の芝生は青い、とはよくできた言葉だとつくづく思う。自分だけが辛くて、別のキラキラした世界で生きるあの人はこんな悩みを抱くことないんだろうな。仕事で失敗して、怒られて。どん底の気持ちを経験するたび、周囲の誰かと比べて感じる気持ち。

悩みとか、失敗を知らない人間なんていないのに。きっとみんな何かにぶつかって、それを乗り越えながら生きている。

「19歳のとき、『ぶっせん』という作品ではじめて主演舞台に立ったんです。仕事に対する考え方が変わったのは、そこで悔しい思いをしたから。最年少とはいえ主演なのに、現場の雰囲気がよくないって感じてもまとめられない自分がいました。それで逆に火がついた」

昔は羨ましいと感じていた友人たちの変化も、仕事観を大きく変えたきっかけのひとつだ。

「今思うと、20歳を越えてまわりが就活をしはじめたのもターニングポイントでした。周囲が将来のことを考えている姿を見て、『あ、俺もこれは仕事をしているんだ』って認識を持ったんです。芝居が好きって思えるようになったのは、それからかな」

続けてみなきゃ、知らないで終わるから。

歳の離れた私の兄が、座右の銘なんだと自信満々に力説してきた言葉がある。それは、一所懸命という言葉で、「ひとつの場所でがんばることって大事なんだよ」と、ひたすら小学生の私に説明してきた。そのときは、よく意味がわからなかったのだけど。

「『やめたい、やめたい』と事務所には言ってきたけど、そのあとどうしようって不安もずっとあった。やめたところで、ほかにやることもないってわかってたんです。それに何事もわかんないっすよね、続けてみないと」

人見知りだと言いながらうつむき加減で話していた彼が、はじめて目線を上げた。

「続けてみないと、本当にそれが自分に合ってるのかきっと知らないで終わるから。その仕事が好きなのか、一回本気でやってみないとわからない。仕事が面倒くせぇって感じるのは、きっと真面目にやってない証拠。自分の本心は、本気でぶつかってみてはじめて気づくものなんです。だから、今さらだけどちゃんと続けてきてよかったなって」

これは、入社1年目の私の話。はじめて書いた原稿を自信たっぷりに上司へ提出すると、真っ赤になって返ってきた。何度も何度も書き直したけれどそれは突き返され続けて、たった800文字の原稿をたしか7、8回は書き直したと思う。それからというもの、出社して席につくたび「家に帰りたい」と考えるようになった。

でも、そのたびに兄の話していた一所懸命の言葉が蘇る。そうして、365回以上「家に帰りたい」を繰り返したころには、これが私の仕事なんだと胸を張れる自分になっていた。今では、たまにだけど「仕事に行きたい」と思って通勤電車に乗り込む瞬間だってある。

「『ママレード・ボーイ』の遊を演じるにあたって、プレッシャーはまったくなかったです。『原作の大きさ』とか『人気がある』とか、キャラを意識しすぎたら芝居が嘘になるから。台本を読んで感じたことだけをやってました。遊というキャラクターと、自分自身が織り交ざったような感覚。ちょっと“吉沢亮”が出てしまう瞬間も、意識的に入れました」

そこにあったのは、役者の顔。芝居のことをひたむきに話す吉沢亮は、どこか楽しそうで本気だ。「やめたかった」なんて話す彼は決して完璧じゃないのかもしれないけれど、それがいいと思った。

辛いかどうかの判断なんて、すぐにできる。肝心なのは、続けた先に見えてくるもの。「やめたかった」って話す彼も、「毎日家に帰りたかった」と振り返る私も。なんだかんだ続けた私たちが言うのだから、それはきっと間違いないのだ。

映画『ママレード・ボーイ』

ある日突然、両親から離婚することを告げられた高校生・光希(桜井日奈子)。旅先で出会った松浦夫妻と気が合い、母親がその夫と、父親がその妻と恋に落ちたためお互いパートナーを交換して再婚すると言いだして……!?さらには松浦夫妻のひとり息子で光希と同い年の遊(吉沢亮)も含めてみんなで一緒に暮らすことに。甘いけれどクールな遊に翻弄されながら、ひとつ屋根の下に住む毎日はトキメキの連続。でも、ある日、遊は光希と自分のあいだにある秘密を知ってしまう。2人の恋の行方とは?

(取材・文:井田愛莉寿、撮影:前田立)

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