「まだ産める状態」である私たちの葛藤。モヤモヤの先にあるいくつかの人生とは『私、産まなくていいですか』書評
ニュースサイトを見ていると、国や専門家が分析した「日本の出生率低下の理由」がまとめられた文章を目にすることがある。
恋愛のコスパが悪いとか、コロナがあったからだとか、景気が悪いからだとか書かれているのだが、当事者である私たちの中に、その理由がピンと来ているという人はどれくらいいるのだろうか。
産むのが怖いのか産みたくないのか、よく分からないけどモヤモヤする。そんな時に見つけた、脅威深いタイトルの小説。ページをめくっていくと、そこにあったのは「産める状態にある私たちの葛藤」だった。
【この本を読んで分かること】
・産むも産まないも、決めることは難しい
・産めない男性の悩み、産める女性の悩み
・モヤモヤの先にあるいくつかの人生
■「産めるのに、産まない」を決めきることの難しさ
たとえば、なんとなく将来に不安を感じる人は多いのではないかと思う。まだ産める歳ではあるけれど、産めば一変してしまう生活。欲しくないわけでもないけれど、喉から手が出るほど欲しいのかは分からない。だけど産めば責任を持って育てていくことになるので、その覚悟が持ちきれない……周囲の友人たちからも、そんな愚痴とも取れない吐露を受ける時がある。