「まだ産める状態」である私たちの葛藤。モヤモヤの先にあるいくつかの人生とは『私、産まなくていいですか』書評
本当になんでも選べるとなってしまうと、全てに選択と決断、責任がついて回る。
しかしどの物語の中でも、登場人物たちが必死にもがいている姿には愛おしさを感じた。どんな選択をしても大変なことはあるのかもしれないが、だからこそ私たちは、どんな決断の先にもやるべきことをやれるのではないかと思う。
それと同時に、人同士のつながりの温かさも感じられる登場人物たちの関わり方に、甘糖さんの優しさも感じられた。子どもに関してどんな選択をしたとしても、私たちは一人きりになってしまうわけではない。だからこそ一人ひとり、自分はどうありたいのかは、じっくり考えてみてもいいのだと思う。
やってみないと分からないことは、手前でいくら考えてもきっと分からない。だけど、この本はその先の“一例”を教えてくれている。
人生の選択に悩んだ時、人と人のつながりに温かさを思い出したい時に、手に取ってみてほしいと思う。
(ミクニシオリ)