今がチャンスかも? 他人と自分の価値を比べてしまう人の最初の一歩『モヤモヤしない考え方』書評
例えば恋人に尽くされること、仕事で頼られること、それらが無くなったら自分の価値が無くなってしまうと考えたことがある人も「そんなことはない」と頭では分かっているし、SNSでキラキラした投稿をする人たちの生活が「美しいだけ」ではないということも知っている。
しかし、多くの社会経験・出会い・SNSに触れる現代で、どうしても出てきてしまうモヤモヤ感は、幼少期も含め、ふとした瞬間から自分の心に取り憑き、離れなくなってしまう。
これらと向き合うのは、いくつになっても怖い。特に、ある程度社会の荒波に揉まれ、上下関係の築き方も、人との距離の取り方も経験してきたアラサーには。
一言、「承認欲求」で済ませるには、あまりにも複雑で、「自己顕示欲」で片付けるには、あまりにも一方通行すぎる。劣等感・執着・嫉妬・依存……聞けば聞くほど不穏でネガティブなこの言葉たちは、ふとした時に感じやすく、それでいて手離しにくい厄介な代物。まるで焦げついたフライパンだ。
ネガティブは、渦巻いた感情の中で、私たちが想像している以上にそちら側へと引き込む引力が強い。
「さて、“私”が求めているものはなんだったっけ?」と、まずは向き合ってみるための一歩を教えてくれる、カウンセリングのような一冊がここにあった。