アセクシャルの彼女との恋が教えてくれた「普通という宗教」からの解脱方法『一番の恋人』書評
私たちは何かと「普通かどうか」を気にしがちだ。それはもはや国の成り立ちに関わる国民性でもあり、教育のされ方でもあるので、気づいた時にはもう普通というものさしを無視することが出来なくなっている。
だけど生きていくうちに、その基準が自らを苦しめてしまうことがある。普通は大学に進学して、普通は結婚して、普通は子どもを産み、家族のために働く。だけど自分らしい価値観が育っていくうちに、どうしてもこの“普通”から逸脱したくなることはある。
自分もいつの間にか、普通という呪いに囚われていたのかも……そんなことに気づかせてくれた、一冊の小説がある。
【この本を読んで分かること】
・普通、普通というけれど、普通とはなんなのか
・愛のカタチに「普通」はない。愛し方はそれぞれでいい
・自分を苦しめる「普通」から逃れる方法
■「大好きな恋人は、自分に恋愛感情がなかった」という衝撃のあらすじ
『君の一番の恋人』(君島彼方著・KADOKAWA)は、アセクシャル・アロマンティックの女性が登場する小説だ。
アセクシュアルとは、他者に対して性的に惹かれないセクシャリティのこと。そしてアロマンティックは、他者に対して恋愛感情を抱かないセクシャリティのことだ。