【ルック】ディオールが春夏 2022 オートクチュール ショーを開催
彼女は、人間の手しごとを生み出す感性に畏敬の念を抱いており、芸術と職人技の間の垣根がすべて取り払われることを願っています。人間の身体は、この前衛的なプロジェクトに命を吹き込む触媒の役割を果たすのです。
刺繍はアトリエの技術とそれ自体の卓越性を再解釈する3次元のコンセプチュアルな作業。ダンスの振り付けのごとく一連の動きを通して進歩する、単なる装飾のディテール以上のものなのです。刺繍が施されることによって、生地に立体感と造形美が生まれます。生地にひときわ映え、美しい対比を演出する刺繍は、他のアイテムとの相乗効果を生み出します。全面に刺繍をあしらったエクリュのロングスカートと、シアーシルクのオーガンザシャツのコンビネーションが見せるコントラストがその一例です。
本コレクションのシグネチャーであるタイツには、刺繍を用いた見事な立体感が演出され、グリザイユ画法のような色彩があしらわれたグレースーツから、繊細な刺繍と軽量なチュールが融合したイブニングドレス、そしてドレープのかかったレオタードまで、さまざまな作品とのコンビネーションを通じて活き活きとしたコントラストが見られます。マリア・グラツィア・キウリは、このコレクションを通じて、アトリエが継承してきた創造の枠組みと手法を再確認しながら、人間の体をドレスアップするというオートクチュールの本質的な役割へのオマージュとして、研ぎ澄まされたラインが放つ美しさを再提示しています。