マメ クロゴウチ 2025年春夏コレクション - 自然と人と、浮かびあがる「かたち」
衣服が、身にまとうものであると同時に生を彩るものであるという意味で、用と美が一体となった最たる例でなくて何であろう。七色にきらめくジャカードで花鳥風月の文様をあしらった、ノースリーブのドレスやノーカラーのジャケットなどには、研ぎ澄まされた衣服に華やぐ「かたち」を感じとれる。その花鳥風月の文様とは、岐阜提灯に描かれた涼しげな秋草や、琉球の螺鈿細工が見せる輝きなどに見出された「かたち」でもあったという。
そういえば「かたち」を言い表す言葉として、「フィギュール(figure)」が思い浮かぶ。これは、ものの形を意味するばかりでない。旧約聖書のアダムが新約聖書のキリストを象徴的に告げるというように、実際に目にする像が、かつて存在した別の像に対応するというイメージのあり方をも示している。いわば「かたち」の裡に、過去と現在の行き来を見てとることである。自然と人の営みから純粋な「かたち」を浮かびあがらせ、衣服という現在へと架橋すること──マメ クロゴウチは、そうした「フィギュール」を衣服に見ているように思える。
マックイーン「フレクション」スニーカー、“腱”着想のアッパー×異なる太さのシューレースで