「ユイマナカザト展」東京シティビューで、“想像・技術・素材が交わる世界”オートクチュールの創作に迫る
このうち、本展で展示される2024年春夏の「UTAKATA」では、古代から続く男性服の展開に対して、クチュールの繊細な手仕事を取り入れるという試みを行っている。
「泡沫の甲冑」をイメージしたそのコレクションでは、実際、男性服の歴史に見られる力強さとは対極にあろう繊細なシルクのファブリックが、古代ギリシアの装いを彷彿とさせるドレープ感豊かなドレスなどへと昇華されている。また、テーラリングはその構築性を保ちつつも、鮮やかなチェック柄とスタッズ、解体・再構築により、華やぎを増していることが見てとれるだろう。
“装飾性”の誇張、2024年秋冬「UNVEIL」
一方、「泡沫の甲冑」といえるドレスを手がけた中里は、「衣服を纏うことが、裸以上に無防備な曝け出すという行為」になれば、という思いに至ったという。過去においても現代においても、衣服の機能性はその評価の指標であり続けてきた。しかし2024年秋冬コレクション「UNVEIL」では、翻って、衣服から機能性を排除し、その対極にある装飾性を誇張するという表現を試みている。
たとえばドレスは、身体を覆うか覆わぬか、流れるようなシルエットに仕立てられる。