「ユイマナカザト展」東京シティビューで、“想像・技術・素材が交わる世界”オートクチュールの創作に迫る
その素材は、繊細な手編みのニット。また、合理性を追求するという流れのなかで生まれた衣服の一例、テーラードジャケットも、そこでは解体され、裏返され、あるいはアシンメトリックにドレスと組み合わされることで、純粋なフォルムの追求は脱臼されて装飾性へと転換されているのだ。
何より、「繊細で壊れやすい」という性質を体現するのが、陶器の装飾である。アトリエで製作されたという陶器のモチーフは、凹凸を持った素朴なフォルムながらも、その表面は金属的なきらめきを放ち、衣服を飾っては身体の動きに合わせて楽音のごとき音を奏でる。こうした陶器の装飾は、前シーズンの2024年春夏「UTAKATA」に用いられるばかりでなく、次の2025年春夏「FADE」へも展開されてゆくこととなる。
“砂漠が誘う”想像の世界、2025年春夏「FADE」
会場の後半では、2025年1月に発表されたばかりの2025年春夏コレクション「FADE」のルックを、豊富な着想源やサンプル、デッサン、写真などとともに紹介。衣服を作る素材や技術に着目してきたこれまでのシーズンに比べて、物語や世界観を構築することにいっそう焦点を合わせたコレクションになっているという。