2019年3月24日 13:00
アクオド バイ チャヌ 2019-20年秋冬コレクション - 偽物をぶち壊せ
模倣から生まれる"新しい価値"
"フェイク"はネガティブなものであるが、アクオド バイ チャヌのベースにあるヒップホップカルチャーのサンプリングやリミックス、現代アートのコラージュなど、既存の模倣から新たな価値が生まれるという事実もまた確か。では本物と偽物、ただのコピーと創造の違いはどこにあるのか?今季はその境界を探ったシーズンでもある。
デザイナー・李燦雨の答えは明解。「元ネタへのリスペクトがあるか」「違う文脈の物を繋ぎ合わせて新たな価値が付加されているか」もしくは「価値の転換が起こっているか」だ。
『モナ・リザ』をサンプリングしたカモフラージュ柄
この哲学を象徴するのが、ヒロ杉山を中心とするクリエイティブユニット・ENLIGHTENMENTとのコラボレーションによって生み出されたグラフィカルプリント。レオナルド・ダ・ヴィンチによる名画『モナ・リザ』をサンプリングしたカモフラージュ柄だ。
『モナ・リザ』と言えば、コピー品が数多く出回るほど、誰もが知っているアート作品。カモフラージュ柄は、元来、敵の目を欺き身を隠すための模様であるが、現代のファッションでは個性を主張するパターンとして価値転換が起こっている柄だ。