2021年10月21日 18:47
子供と接する大人の『消えない後悔』 大事なものを見逃さないためには【きしもとたかひろ連載コラム】
その子がやめてしまったのは、単に興味が薄らいだのではなく、僕がうまく拾えなかったからかもしれない。
タイミングを逸してしまったことを悔やみながら、けれど無理に引き戻すのも違う気がして、「また思いついたら言ってね」とだけ声をかけた。
数ヶ月経って、友人関係も良好になっていき、学童での活動も充実してきた頃にまた、その子から「冬休みを使ってお泊まり会がしたい」と提案があった。
一度失くなったチャンスがまた来たことはありがたかった。このタイミングは逃さないぞ、と張り切って企画を進めることにした。
その子が友達たちと色々な案を出し合い練っている間に、僕は組織上層部に掛け合って施設利用などについての手回しをする。
しかしながら、なかなか組織からはゴーサインが出なかった。過去に何度も開催しているのに、その時は色んな事情が重なり一筋縄ではいかなかった。
冬休みには間に合わず、僕はその子に春休みに向けて交渉していくことを伝えた。
もちろん嘘をつくわけにはいかないので、できるか分からないけれど相談しているということを伝えて、その子は「それでもいい」と楽しみにしてくれていた。
そしてその春、結局お泊まり会は開催されなかった。