台湾では、端午節に食べる風習のあるちまき。しかし一年中お客さんが絶えないちまきの老舗が台北にある。そのおいしさの秘密に迫ります。本誌連載『秘密の台湾』よりお届け。
親子3代で守り続ける〈四喜肉粽〉の、ちまきとは?

先代の故郷の味を、母と息子で守ってきた。息の合った連携プレーで手際良く作られる。

お店に貼られている台湾の伝統飾りには、商売繁盛の思いがつまったオリジナルの創作文字が。

2階へと進むと、まさかこんな場所に!? と思うほどの秘密基地のような場所でちまきが作られている。
〈台北101〉にほど近い大安にある伝統市場、〈信維市場〉(シンヨウスーチャン)。市場がある古いビルは、映画のセットに迷い込んだか、はたまたタイムスリップしたかのような雰囲気。このビルの2階に、台湾で知る人ぞ知るちまきのお店がある。創業40年を超える〈四喜肉粽〉は、創始者の故郷・上海の味「湖州式ちまき(粽)」を親子3代で守り続ける店だ。
「義父は戦後、中国大陸から台湾へ渡ってきたいわゆる外省人です。かつての同僚たちに故郷の味をふるまった時、とても好評だったのがきっかけで、故郷の味を多くの人に食べてもらいたいと定年後にお店を始めました」