『アンナチュラル』など数多くの話題作を手掛けてきた脚本家・野木亜紀子氏による待望のオリジナル作品『連続ドラマW フェンス』がWOWOWで放送中。沖縄が抱えるさまざまな問題に正面から向き合った本作を、沖縄在住の教育学者・上間陽子さんはどういう思いで視聴したのだろうか。

Review上間陽子 教育学者
うえま・ようこ/琉球大学教育学研究科教授。沖縄で10代の女性たちの聞き取り調査を続ける。著書に『裸足で逃げる』(太田出版)、『海をあげる』(筑摩書房)など。若年妊産婦向けのシェルター「おにわ」共同代表。
「 沖縄の人々の単純化できない心の内までも描かれていました 」
私は今、普天間基地の近くに住んでいます。コザで生まれたので軍用機の音には慣れていたつもりでしたが、基地と住宅地が近い普天間の爆音は桁違い。義理の妹が管制官なので、5歳だった娘はこんなことを言ってきました。「飛行機が低く飛んでいるから(義妹)に電話して。
の指示なら聞いてくれるでしょ」と。その時に私は「の言うことを聞くのは白い飛行機。灰色の飛行機をなんとかできる人は日本にはいないんだよ」と答えるしかありませんでした。5歳の子に日米地位協定があるから諦めろと説明しなければいけないのが沖縄です。